経済分析

【データで考える】人口減少が進む日本はオワコンなのか?経済成長率から考察!

皆さん!
突然ですが、こんな主張を聞いたことありませんか。

「日本は人口減少が進むから経済成長が難しい
「日本は少子高齢化社会だから経済成長が難しい

誰もが一回は聞いたことがある主張だと思います。
そしてその主張に対して「その通りだ!」と感じてしまう人も多いはず。

しかし、本当にそうなんでしょうか。
この記事では定量的なデータを用いて、人口減少が進む日本はオワコンなのか?を検証していこうと思います。

さっそくLet’s get started !!

結論:「人口減少するから経済成長は無理」はウソ

初めに結論だけを述べておきます。

「人口減少が進むから経済成長は無理!」というのは誤った主張の可能性が極めて高いです。

いきなり理由を詳細に説明しても混乱してしまうので、まずは日本の現状について見ていきます。

日本のGDP推移

まずは経済成長を表す指標として最も代表的な指標GDP(国内総生産)の推移を見ていきましょう。

1990年以降横ばいの日本経済

下記の図は1960年~2019年までの日本のGDP推移を表したものです。
(参照統計データ:Data commons)

御覧の通り、1960年代から1990年代半ばにかけて日本のGDPは凄まじい勢いで成長していきます。
しかしながらバブル崩壊後の1997年以降、日本は低成長時代に入り、GDPはほぼ横ばいで推移しています。

つまり、30年間もの間、日本は経済成長をしていないことになります。
政治的に言えば「失われた20年/30年」というやつですね。

そして今後も日本は少子高齢化社会や人口減少を理由に経済成長は難しいとされるのが大方の予想です。その予想が正しければ、今後もGDP推移の横ばいは続いていくということになります。

減少し続ける日本の人口

あと20年間で1400万人も人口が減少

さて続いて現状の日本の人口推移を見ていきましょう。
2000年~2040年の「人口推移」を表したのが下図になります。
(参照統計データ:総務省「人口動態統計」人口問題研究所「将来推計人口」)

日本の人口は2005年前後をピークとして、そこから減少フェーズに入っています。

2040年にかけて人口減少スピードも上がっていき、2040年では日本の人口が1億1000万人程度になると予想されています。

減少し続ける生産年齢人口

そしてもっと大きな問題点と指摘されているのが、生産年齢人口(15歳~64歳)の減少です。

GDPの日本語名称は、「国内総生産」になります。
「日本でどれだけのサービスや消費財を作り出したか」を表すのがGDPです。

そしてこのサービスや消費財を生み出すことが出来るのが、15歳~64歳の労働者になります。この生産年齢人口も2040年にかけて減少していきます。

日本は経済成長できない?

さて30年間もの間、経済成長が出来ていない日本が現状直面している人口問題を定量的に見てきました。

結果をまとめるとこういうことになります。

  1. GDP(国内総生産)の受け皿となる日本全体の人口は減少
  2. GDP(国内総生産)を生み出すことのできる生産年齢人口も減少

つまりGDPを増やすための需要も減少するし、供給能力も減っていくから、日本がこれ以上GDPを増やすことが出来ないという結論にたどり着きます、、、

ちょっと待って!!!!
一見すごく真っ当な主張に聞こえますが、実は誤った主張の可能性が高いです。
ここからが反論パートになります。

反論:データの考察

人口とGDPの相関関係

さて人口が減少するからGDPが増えないという主張は本当に正しいのでしょうか。
ここで人口とGDPの関係性を見ていきましょう。

GDPを人口を使って表現すると下記の式になります。

GDP人口×一人当たりGDP

この式を見るとやっぱり人口が減少すると、GDPが減少することは間違いなさそうです。
ここで、人口推移とGDP推移を同じ図に落とし込んだ図を見てみましょう。

確かに人口が増えるにつれて、GDPが増えていますが、人口の伸びに比べてGDPの伸びの方が急ですよね。
実は人口よりもGDPに大きな影響を与える指標があるんです。

1人当たりGDPとGDPの相関関係

それは1人当たりGDPになります。
1人当たりGDP」と「GDPの推移」を1つの図に落とし込んだ図を見てみましょう。

「1人当たりGDP」と「GDP」の増減がピタリと一致していることが分かると思います。
「人口」と「GDP」の関係性より、より強い関係性が見て取れますよね。

なぜこんなことになっているかというと、「1人当たりGDPの変化率」は「人口の変化率」よりもよっぽど大きいから。それを表したのが下図です。

人口減少が強く叫ばれる昨今ですが、実は年間で0.2%程度しか減少していないんです。
一方で「1人当たりGDP」は年間で10%近く変化します。

したがって、「人口」の減少率が0.2%でも、「1人当たりGDP」を1%上げることが出来れば経済成長は可能なんです。

つまり「人口が減少するから経済成長はしない」というのは誤った論理の可能性が高いことが示されたわけです。

これらのデータから言えることは「日本の経済成長は人口ではなく1人当たりGDPで決まる」ということです。

日本の経済成長を語るときに、「人口」しか語らない人は間違った認識をしている可能性が高いです。
日本の経済成長を語る上では、「1人当たりGDP」つまり「労働生産性」が最も重要であり、これをどのように上げていくかということを議論するのが本質的です。

最後に

さていかがだったでしょうか。

この記事では、「人口減少が進む日本は本当にオワコンなのか」ということについて定量的なデータを用いて検証を行いました。

結論はこんな感じ!

  1. 経済成長のためには「人口」よりも「1人当たりGDP」の方が重要
  2. 日本の人口減少は年間で0.2%程度に過ぎない。
  3. 「人口減少するから経済成長はしない」は誤り

人口減少するから経済成長はしない」という一見すると正しいと感じる論理も定量的に評価すると怪しいことが分かりました。

次回の記事では「1人当たりGDP」を上げるためにはどのようにすべきかについて考えていこうと思います。

最後まで記事を読んでくださり、ありがとうございました。

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